世界の鍋料理 ~中国篇~

日本だけではなく世界中のさまざまな国に、ひとつの鍋を囲んで食事を楽しむという文化があります。他の国の人たちは、どんな食材を使って、どんなスタイルで鍋料理を味わっているのでしょうか。国や地域の特色が見られる鍋料理を求めて、世界をめぐる旅を始めましょう。今回のテーマは、中国です。

中国では、北方はしゃぶしゃぶ系、南方は激辛系が主流で、さまざまな鍋料理があります。
地方の鍋料理が広まって、ときには外食チェーンとして全国展開することも。中国で鍋料理に使われる鍋には、火鍋(しゃぶしゃぶ用)、砂鍋(日本でいう土鍋)、汽鍋(鍋ごと蒸して使う)などがあります。汽鍋は真ん中から蒸気がでるようになっていて、水を入れなくても素材の水分だけで仕上がる、滋味あふれる鍋料理です。寒い雲南省では、一年中家庭で食べられているとか。日本では見られないタイプの鍋料理ですね。

それでは、中国の鍋料理を見てみましょう。

火鍋(フォグオ)

日本でもすっかりおなじみになった火鍋。
2種類のスープが入る鍋は「鴛鴦(ユェンヤン)」といい、おしどりを意味します。スープは辛くない白湯(パイタン)または清湯(チンタン)と、見るからに辛そうな山椒と唐辛子が効いた麻辣(マーラー)から選ぶのが一般的です。具材は肉、魚介、野菜をはじめ多数の中から好きなものを選びます。タレはごま油、ピーナッツだれ、ごまだれなど各種あり、好きな薬味(香菜やにんにくなど)とともにいただきます。

麻辣香鍋(マーラーシャングオ)

近年、中国やシンガポールで人気の汁なし鍋、「干鍋」ともいいます。日本でも激辛好きに注目されている鍋料理です。
季節の野菜、きのこ類や肉類、海鮮類など、具材の旨みと四川特産唐辛子の辛さを一緒に味わう鍋料理です。 専門店では、豚肉や鶏肉、いかや白身魚、たけのこ、れんこん、きくらげ、セロリ、カリフラワーなどメニューにある具材から好きな物を選んでオーダー。唐辛子や花椒などと炒め上げた料理が鍋で供されます。

涮羊肉(シャンヤンロウ)

北京の名物料理で、羊肉のしゃぶしゃぶ。日本のしゃぶしゃぶのルーツとなった鍋料理です。
中国の東北地方とモンゴルの少数民族が生活する地区から始まり、古くは「涮鍋」と呼ばれたそうです。それから徐々に他民族の間にも広まり、17世紀半ばには「羊肉片火鍋」として、宮中で人気があったとか。その後、宮廷の外にも知られ、現在では専門店も多数あります。

参考

加藤いづみ

著者

加藤いづみ

コピーライター、ディレクター。15年にわたってPR誌の取材で全国各地に赴き、その土地の文化、風土、食などを体験してきた。また。料理記事の企画、撮影コーディネート、ディレクション多数。休暇には国内外に住む友人を訪ねて旅行することが多い。自分で作る料理は、イタリアン、エスニックが好き。